モチベーションがあがる令和式人事制度とは?最新動向と導入のポイント

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目次

  1. 令和時代の人事制度の背景と現状分析
  2. モチベーション向上に寄与する令和式人事制度の具体的な施策
  3. 先進企業の成功事例
  4. 令和式人事制度導入のステップ
  5. まとめと今後のアクション
  6. 参考文献・リンク

令和時代の人事制度の背景と現状分析

近年、経済産業省の人的資本経営の推進を背景に、2023年からは「人的資本開示」が義務化されました。これは企業が「研修時間」「研修費用」「離職率」「定着率」等の人材に関する情報を開示することを求めるもので、企業の人材戦略が経営の重要な要素として注目されている証拠です。
また、人事制度の形態についての調査では、従来から主流であった「職能資格制度」の導入率は72.0%である一方、新たに注目されている「役割等級制度」を採用する企業が59.7%に達し、「職務等級制度」も50.3%と一定の支持を集めています。特に「役割重視」の制度設計が令和の人事制度の主流とみなされています。
さらに、採用活動においても、費用を2年間で2倍以上に増やし、応募者数・採用者数が過去最多を記録した企業が登場。多様な人材の確保と離職率引き下げ、社員のエンゲージメント向上を目指す企業施策は、業績向上との関連でも注目されています。

モチベーション向上に寄与する令和式人事制度の具体的な施策

1. 役割等級制度の導入による公正で明確な評価

令和式の人事制度では、社員一人ひとりの役割や責任に基づく「役割等級制度」が採用されつつあります。これにより、「職務内容」「求められる成果」「役割範囲」が明確化され、評価基準が透明になることで社員の納得感が高まりやすくなります。

2. 人的資本の開示と定期的なキャリアレビュー

人的資本開示の義務化に伴い、研修時間や育成投資などの情報も公開されることで、社員や外部からの信頼を得ることが可能です。加えて、定期的にキャリアレビューを行うことで、個人の成長と会社の目標を連動させやすく、モチベーションの維持・向上につながります。

3. 柔軟な働き方の推進と育児休業後の復職支援

テレワークや時短勤務などの多様な働き方は、特に育児休業取得後の復職率向上に効果的です。復職を促進し定着率を高めることで、長期的な人材育成と職場の活性化が期待できます。

4. 採用ブランディングの強化と応募者満足の向上

担当部署の設置や採用費用の拡大など、採用ブランディングを強化することで優秀な人材の集客が可能に。採用活動を戦略的に展開することが、優秀な人材確保と企業イメージアップに直結します。

先進企業の成功事例

「Great Place To Work(GPTW)」認定企業は、人的資本の可視化や公正な評価制度、柔軟な働き方の整備に取り組み成果を上げています。例えばあるGPTW認定企業では、採用費用を2倍以上に増額し応募者数を過去最多に。また、定期的なキャリアレビューやリーダー育成の研修が定着率向上に貢献しています。
さらに、富士通株式会社、資生堂株式会社、日立製作所などの日本企業は、役割等級制度やジョブ型人事制度をいち早く導入。これにより、スキル・キャリア志向の社員が能力を最大限に発揮しやすい環境を実現しています。

令和式人事制度導入のステップ

  1. 現状把握と課題分析
    離職率や研修効果、社員のエンゲージメント指標を把握し、自社の強み弱みを明確にします。
  2. 役割定義と評価基準の策定
    職務や責任を詳細に洗い出し、役割等級に落とし込み、評価の公平性と透明性を担保します。
  3. 人的資本データの収集・開示体制構築
    研修実績や離職率など関連情報をシステムで管理し、速やかに開示できる体制を整えます。
  4. キャリアレビューと育成プログラムの実施
    定期的に目標設定・評価を行い、個人の成長にフォーカスした育成支援を充実させます。
  5. 柔軟な働き方・復職支援の拡充
    テレワークや時短勤務の整備、育児休業取得促進の仕組みを社内規定や制度に反映させます。

まとめと今後のアクション

令和式の人事制度は、「役割重視」「透明な評価」「人的資本の積極開示」「柔軟な働き方」といった要素が組み合わさることで、社員のモチベーションを着実に高める効果を持っています。先進企業の事例からも、これら制度の導入は離職率低下や採用力強化に寄与し、企業パフォーマンスと直結していることが明らかです。
人事制度改革は一朝一夕では成し得ませんが、まずは現状把握から着手し、段階的に仕組みを整えていくことが重要です。モチベーション向上を通じて組織の成長を実現するために、最新の令和式人事制度を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献・リンク