「会社を訴えたい…」と思ったら読むロードマップ|泣き寝入りしないための費用と準備

「会社を訴えたい」

込み上げる怒り、裏切られたという思い、そして将来への言いようのない不安。その気持ち、痛いほどお察しします。しかし、その悔し涙を、決して泣き寝入りで終わらせてはいけません。

その強い感情は、不当な扱いと戦い、あなた自身の権利と尊厳を取り戻すための、何よりの「力」になります。

この記事は、あなたのその熱い想いを、冷静な戦略へと変えるための「ロードマップ」です。法的な知識がなくても、何から手をつければ良いか分からなくても、大丈夫です。この地図を頼りに一歩ずつ進めば、必ず道は拓けます。さあ、あなたの正義を取り戻すための準備を始めましょう。

なぜあなたは「会社を訴えたい」のか? まずは感情と思考の整理を

「訴えたい」という強い衝動は、具体的な「請求」に置き換えることで、初めて法的な力を持つ武器となります。まずは冷静になり、あなたが会社に対して「何を」主張したいのかを明確にしましょう。

  • 不当な解雇をされた → 地位の確認、解雇期間中の賃金(バックペイ)の請求
  • サービス残業を強いられた → 未払い残業代の請求
  • 上司からパワハラを受けた → 精神的苦痛に対する慰謝料の請求
  • 退職を強要された → 退職の無効、あるいは慰謝料の請求
  • セクハラ・マタハラを受けた → 慰謝料請求、および職場環境配慮義務違反の追及

あなたのケースはどれに当てはまりますか? これらの「請求」を証明するために、次なるステップが極めて重要になります。

勝利の鍵は「客観的な証拠」にあり

感情的な訴えだけでは、残念ながら法廷で認められることはありません。あなたの主張が「事実」であることを第三者に証明するための、客観的な証拠が不可欠です。

証拠がなければ、どんなに正当な主張も「言った言わない」の水掛け論で終わってしまいます。今のうちから、意識的に関連する資料を集め、記録を残すようにしてください。

【実践ロードマップ】「会社を訴えたい」を実現する4つのステップ

では、具体的にどのような手順で進めていけば良いのでしょうか。基本的な流れは以下の4ステップです。

  1. STEP 1:専門家への相談
    まずは一人で抱え込まず、専門知識を持つ第三者に相談します。ここで全体像を把握し、戦略を立てます。相談先については後ほど詳しく解説します。
  2. STEP 2:証拠の収集と整理
    相談で得たアドバイスを元に、あなたの主張を裏付ける証拠を徹底的に集め、時系列に整理します。
  3. STEP 3:内容証明郵便による請求
    弁護士に依頼し、会社に対してあなたの要求(未払い賃金の支払いなど)を記載した書面を送付します。「本気である」という意思表示と、交渉のテーブルに着かせる目的があります。
  4. STEP 4:交渉・労働審判・訴訟
    会社の反応に応じて、交渉、労働審判(※より迅速な解決を目指す手続き)、あるいは本格的な訴訟へと進んでいきます。

最大の壁? 「弁護士費用」の不安を乗り越える

ロードマップが見えてきても、多くの方がこう思うはずです。「でも、弁護士に頼むお金なんて…」。その不安、非常によく分かります。

費用は、あなたが「何を」「いくら請求したいのか」によって大きく変わります。しかし、その「分からない」状態が、一番の不安の原因ではないでしょうか。

そこで、あなたのケースで費用がいくら位になるのか、具体的な目安を把握できるシミュレーターをご用意しました。まずはここで、金銭的な見通しを立ててみましょう。

弁護士費用・簡易シミュレーター

会社に請求したいおおよその金額(未払い残業代や慰謝料など)を入力すると、弁護士費用の目安(着手金・報酬金)が自動で計算されます。

万円

計算結果(目安)

着手金: 約 120,000 円
報酬金: 約 240,000 円
合計: 約 360,000 円
【!】シミュレーターご利用上の注意と計算の根拠

ご利用上の注意

  • このシミュレーションはあくまで一般的な目安であり、実際の費用は法律事務所や事案の複雑さによって変動します。
  • 着手金・報酬金の他に、交通費や印紙代などの実費が別途必要になる場合があります。
  • 初回相談を無料で行っている法律事務所も多くあります。
  • 経済的な余裕がない場合でも、法テラスの民事法律扶助(費用の立て替え制度)を利用できる可能性があります。詳しくは法テラスの公式ホームページをご確認ください。

計算の根拠

このシミュレーターは、現在では廃止されていますが今なお多くの法律事務所で参考にされている(旧)日本弁護士連合会報酬等基準を元に、以下の料率で計算しています。

着手金

  • 請求額300万円以下の部分:8%
  • 請求額300万円超〜3000万円以下の部分:5% + 9万円
  • 請求額3000万円超の部分:3% + 69万円

報酬金(成功報酬)

  • 獲得額300万円以下の部分:16%
  • 獲得額300万円超〜3000万円以下の部分:10% + 18万円
  • 獲得額3000万円超の部分:6% + 138万円

あなたは一人じゃない。目的別・相談先完全ガイド

費用の目安が分かったら、次はいよいよ「相談」という最初の一歩を踏み出します。相談先は一つではありません。あなたの目的や状況に合わせて、最適な場所を選びましょう。

相談先 特徴 こんな人におすすめ
総合労働相談コーナー(労働局) 国の機関。無料で相談でき、必要に応じて助言やあっせんをしてくれる。 まずは無料で話を聞いてほしい。法違反があるか知りたい。
弁護士 法律のプロ。あなたの代理人として交渉から訴訟まで全てを任せられる。 本気で会社を訴えたい。法的に白黒つけたい。
法テラス 国が設立した法的トラブルの相談窓口。無料相談や弁護士費用の立替制度がある。 経済的に余裕がないが、弁護士に依頼したい。
労働組合 労働者のための組織。団体交渉など、個人では難しい会社との交渉をサポートしてくれる。 職場環境全体を改善したい。同じ悩みの仲間と戦いたい。

まずは、厚生労働省の総合労働相談コーナーや、日本弁護士連合会が案内する相談窓口などを活用し、専門家の意見を聞いてみることを強くお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q. 会社を訴えたら、次の転職で不利になりますか?

A. 訴訟の事実が外部に漏れることは基本的にありません。また、元々労働者を不当に扱うような会社は、こちらから願い下げだと考えましょう。正当な権利を行使したことを不利に扱うような会社は、そもそも入社すべきではありません。

Q. 費用倒れ(弁護士費用の方が高くつくこと)が心配です。

A. 弁護士は依頼を受ける前に、費用倒れになるリスクがないか必ず説明してくれます。多くの労働問題では、未払い賃金などの「付加金」や「遅延損害金」を合わせて請求できるため、回収額が費用を上回るケースは少なくありません。まずは相談時に率直に聞いてみましょう。

Q. 解決まで、どのくらいの期間がかかりますか?

A. ケースバイケースですが、交渉であれば数ヶ月、労働審判であれば3ヶ月〜半年、訴訟になると1年以上かかることもあります。早期解決を望む場合は、その旨を弁護士に伝えることが重要です。

まとめ:その悔し涙を、未来を切り拓く力に変えよう

「会社を訴えたい」というあなたの想いは、決して間違っていません。それは、あなた自身の尊厳を守るための、正当な心の叫びです。

一人で悩み、情報収集する時間は、本当に孤独で辛いものだと思います。しかし、この記事で示したロードマップの通り、あなたには頼れる専門家や公的機関が数多く存在します。

どうか、一人で抱え込まないでください。
今日、この記事を読んだことが、あなたの輝かしい未来を取り戻すための「第一歩」となることを、心から願っています。

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